数学の真髄-基本原理追究編-文理共通 PART1/PART2 の変更点

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*講座情報 [#f606bed3]
-講座コード:9843(PART1)・9912(PART2)
-担当講師:青木先生
-収録年度:2018年度
-授業回数:90分*40回(PART1・PART2各20回)
-確認テスト:40回(PART1・PART2各20回)
-講座修了判定テスト:4回(PART1・PART2各2回)
-レベル:5~7
-キャッチコピー:本格的な入試演習を始める前に、高度な基本知識と論理を整理しよう 
-対象学年:高2・高3・高卒生
-講座の対象:東大・京大をはじめ最難関大合格を目指す生徒
-講座の目標:Ⅰ・A/Ⅱ・Bの本質的で論理的な理解
-学習項目:○数列(和と差分・漸化式) ○場合の数と確率 ○論理(同値変形・存在条件の処理) ○写像の値域 ○多項式(一致の定理) ○ベクトル(一次独立と斜交座標・内積と符号付き長さ・外積) ○整数の合同式 ほか
-学習内容:教科書の内容を覚えて、問題をたくさん解いて、公式や解法をいくら暗記しても、東大などの超難関大学を攻略することはできません。数学的事実を正確に理解し、それを論理的に正しく使う力がどうしても必要です。この講座では、実践演習を始める前に必要な基本的かつ本質的な「未知の問題を処理する考え方」を学びます。
-受講上の注意:[[高3生のための数学の真髄>高3生のための数学の真髄]][講座番号9831]と内容が一部重複しています。
-必須講習講座:未記載
-事前受講講座例:未記載
-予習の仕方:未記載
-復習の仕方:未記載
-講座の構成:
|CENTER:||c
--PART1
|講数|CENTER:内容|h
|Vol.1 第1章|差分と数列の和|
|Vol.1 第2章|差分の活用|
|Vol.1 第3章|漸化式|
|Vol.1 第4章|「場合の数」のいちばん大切なこと|
|Vol.1 第5章|様々な数え上げ|
|Vol.1 第6章|「確率」のいちばん大切なこと|
|Vol.1 第7章|条件付確率・独立反復試行|
|Vol.1 第8章|二項定理|
|Vol.1 第9章|漸化式を作る1|
|Vol.1 第10章|漸化式を作る2|
|Vol.2 第1章|命題と条件|
|Vol.2 第2章|領域の図示|
|Vol.2 第3章|全称と存在|
|Vol.2 第4章|必要と十分|
|Vol.2 第5章|同値変形I|
|Vol.2 第6章|同値変形II|
|Vol.2 第7章|同値変形III|
|Vol.2 第8章|同値変形IV|
|Vol.2 第9章|同値変形V|
|Vol.2 第10章|必要条件と束|
--PART2
|講数|CENTER:内容|h
|Vol.1 第1章|写像の原理|
|Vol.1 第2章|いろいろな写像1|
|Vol.1 第3章|いろいろな写像2|
|Vol.1 第4章|いろいろな写像3|
|Vol.1 第5章|いろいろな写像4|
|Vol.1 第6章|いろいろな写像5|
|Vol.1 第7章|多項式の割り算|
|Vol.1 第8章|因数定理と一致の定理|
|Vol.1 第9章|一致の定理の応用・積の微分|
|Vol.1 第10章|接する条件|
|Vol.2 第1章|一次独立と斜交座標|
|Vol.2 第2章|空間ベクトルの一次独立・内積と符号付き長さ|
|Vol.2 第3章|内積|
|Vol.2 第4章|外積|
|Vol.2 第5章|ベクトル演習|
|Vol.2 第6章|三角関数の一番大切なこと|
|Vol.2 第7章|ベクトルと三角関数|
|Vol.2 第8章|有名不等式|
|Vol.2 第9章|合同式|
|Vol.2 第10章|合同式を用いた論証|
*この講座について [#a9b8aa5c]

''神(GOD)の講義。''

東大・京大を始めとする最難関大学合格の為に絶対的に必要な(しかし殆どの学校、参考書ないしは予備校の授業では教えられていない)基本(≠簡単)原理の本質的な理解を丁寧に徹底して行う。

師曰く「世間には公表していないが、東大を目指す人のために作った講座」だそう。(もちろん東大以外を志望する人が受けてはいけないという意味ではない。ただ発言した場が特進の授業だからである。)

今まで漠然と数学に向き合ってきた人には衝撃が走るに違いない。毎回、様々な重要概念を学ぶ事が出来るが、特に論理・写像・確率・三角関数・ベクトル・数列については他では代用しがたい理解の深化を与えてくれる。((特に論理に関しては高校の教科書や市販のほとんどの参考書ではあまり詳しく扱われないので、それも相まって価値が高いものとなっている。))

軌跡の問題を意味も説明できずに即刻パラメーター消去する・高次式の値を求める問題で何も考えずに割り算で次数下げをする・恒等式だからと平気で両辺の係数比較や微分をする・等式を無闇に2乗し“同値記号”で結んだりする・内積を「垂直ならば内積=0」でしか使ったことがない・円と放物線が接する条件を判別式=0で処理する・相加相乗平均の不等式を使った後の等号成立の確認が形骸化している・確率を適当に掛け算して答えを求めるような人々への救済講座。自分が今までどれ程本質からズレた数学をしてきたかがよく分かる。1つでも上記の行動が当てはまっているのなら、もしくはその行動の深刻さが分からなければ本講座を受講する価値は十二分にある。

第1講ではもはや暗記事項と化している数列のΣ公式を自分で導出する為の考え方を学ぶ。解法暗記的にではなく何故導出できるのかというメカニズムを徹底的に教えてくれる。この初回授業を通して「考えて解く」というのがどういう事かを実感できるだろう。

確率の講義では標本空間や素事象などの概念を用いて確率の定義を整理する。確率分野は基盤となる確率の定義が曖昧であるが故に苦手であるという生徒が多いので、そのような生徒にとっては有益この上ないものだろう。なお、ここで学ぶ諸概念は大学で学ぶ公理的確率論のベースとなるのでその見通しもできる。

PART1vol.2で学ぶ論理こそ数学の真髄である。師もこれを教える為に東進に来たと仰るほどの講義である。初めて学ぶ概念が多く、それら概念がどこで使えるかが分からず不安になってしまうかもしれない。しかし、後に学ぶ写像や演習編ではこれらの基本原理が解答を紡ぐ土台となるので絶対に理解しておきたい。師の説明を繰り返し聞き、自分で説明できるレベルにまで理解度を上げる事を目標とすると良い。

ベクトルの講義では大学以降で重要になってくるベクトルの見方を学べる。明言はしないものの学習指導要領範囲外の一次変換まで扱う。後に師の板書を2×2行列で書ける事を知ると線形代数が生き生きと見えるようになり、基本原理の大切さ、そして授業で登場した斜交座標グッズの素晴らしさを思い知る(尤も、あれは長さは変えられないのであるが)。さらに長岡先生も度々仰っている三項間漸化式の解き方もこの話につながっている事を知ると形容し難い感動すら覚える。ちなみに師はベクトルの講義の始めに「実は多項式もベクトルです。それから数列もベクトルです。」と言及しているが、これは大学初年度に学ぶベクトル空間を指している。簡潔に説明するとベクトル空間とは単位元を持ち、加法とスカラー乗法ができる(閉じている)要素の集合であり、多項式も数列もこのベクトル空間の性質を満たすのである。

ヘッセの公式(点と直線の距離公式)や三角関数の膨大な公式群はこの講座をマスターすれば全く覚える必要が無くなる。「公式は自分で作るもの」という考え方に変化するだろう。

講義は丁寧で、かなり基本的なレベルから始まるが到達点は受講者によって大きく変わると思われる。師の仰るような、考える数学を取り組む習慣が定着すれば1年後には見違えるような数学力が身につくだろう。

この講座はタイトル通り基本原理の追究に徹底しているので初学者には向いていない。しかし逆に言うと最低限(教科書レベル)の知識があれば誰でもついていける。参考書、授業等(オススメは旺文社の『総合的研究』(長岡亮介著))で一通り数学ⅠAⅡBを履修して、ある程度演習を積んだ状態で受けるのがベスト。

師は「この講義は問題の解き方ではなく考え方を教える。」と仰っている。師の解答は非常に鮮やかであるが、あくまで基本原理を活用する例示であってそれを暗記するのは意味が無い。解答自体よりも板書や口頭説明で述べられる[解答にたどり着くまでの過程]を大切にしよう。別解が示唆された際には復習時にその方針で問題を解いてみる事で、自ら答案を作る感覚を養うと良い。

当然だが''予習必須''。師曰く、答えが出なくてもいいから考えること。受講後はしっかりと復習し、師の仰るような考える数学をする習慣をつけよう。

講義毎に章末問題が3題程度付いている。難易度が非常に高い問題が多いので全くできなかったとしても落ち込む必要はない((師自身も東大特進で「あのテキストに載せた章末問題は難易度が高すぎたみたいで反省してます」と仰っていた))。授業で習った内容がどのように生かされているかに注意して解答を熟読するとよい。

難関大志望の物理選択者は、この講座+[[真髄理系>数学の真髄-基本原理追究編-理系]](もしくは、[[数学ぐんぐん(応用編)>数学ぐんぐん[応用編]]]+[[微積もぐんぐん(応用編)>微積もぐんぐん[理系微積分+α]-応用編-]])を受講してから「[[ハイレベル物理>ハイレベル物理 力学/電磁気学/熱力学・波動]]」を受講すると数学的な理解不足という点で躓く事は無いと思って構わない。むしろそのレベルまで数学の素養を高めずに受講すると、数学によって授業を理解するのが困難になる可能性があるので注意されたい。サラッと言及する数学的背景(カバリエリの原理や一次近似など)が真髄にて丸々1講のテーマとして扱っていたりする事からも相性が良いのは明らかだろう。(ただし、十分条件であって必要条件でないのは注意されたし。金銭的にキツければハイレベル物理だけ受けるのも問題無い。最低限の補足はもちろん丁寧にしてくれる。)

2022年7月に東進ブックスから師の参考書である数学の真髄(論理・写像)が発売された。ただしこれで扱ってるのはこの講座で言うPART1 Vol.2の論理、PART2 Vol.1の写像のみなので、これで真髄を全て代用する事は不可能。ただし復習としては使えるのでこの講座を受講する人は購入して損はない。

この講座の設置に伴い、2020年度からは師の高3向けの東大特進の授業が大きく変わる。高2の東大特進又は数学の真髄(ⅠAⅡB)の受講を前提に、高3での受験対策用の講座を開講することになる。高2の東大特進ではこの講座と入試演習までの穴埋めを行う。したがって、本講座と高2東大特進を取っておけば高3になった時に師の特進での授業がよりスムーズに理解できるだろう。

この講座を受講し終わったら(理系の場合は理系真髄含めて)、東大実践演習編も受講することをオススメする。しばしば、基本原理追究編をエンド講座としている生徒が見受けられるが、それでは数学の真髄を大学入試に十分活かすことは難しいかもしれない。学び得た基本原理をどう生かして難問を突破するのかを経験することで、数学力を更に飛躍させる事ができるだろう(東大実践演習という名を冠しているが東大志望でなくても京大,東工大,一橋大などの難関大学の志望者ならば受講する価値は十分にある)。

PART2 Vol.2 問題1.1 (2)の解説を師は忘れているが、教科書レベルの問題なので簡単に解けるだろう。