苑田 尚之 のバックアップ(No.4)


人物

GOD(神)である。長崎西高校卒業。東京大学理学部物理学科を首席で卒業。
もともと予備校の講師は2,3年の腰掛け程度の気持ちで始めたものの、仕事の楽しさに気付いてしまったと語っている。現在では受験物理界でのカリスマに昇りつめる存在となった。河合塾をメインに授業をしている。(東進のCMの影響で、東進のイメージが強いが)

師が扱う物理の範囲については賛否両論あるが、ここでは少し俯瞰的な説明をしてみようと思う。
*以下、長い文章が続くが、全て「苑田先生はどのように物理を教えたいのか」ということを説明するために必要な文章なので、このページの意図には一応沿っていると思う。特に苑田先生含む微積物理(この呼称にも問題があるのだが…)に対しては反対派が多く、その点を気にして踏みとどまる生徒も数多くいるのでここで鳥瞰図を与えてそれぞれどうすべきか道標を与えようとするものである。
そもそも高校物理は文部科学省のカリキュラム上、数3で習うような微分積分学などの若干高級な数学を使うことは許されていない。これについては、直感的に素早く学べることで見通しが立ちやすくなるという利点もあり、一般的な高校生(世の中は最難関大学志望者だけではもちろんない)に厳密な理論をやらせることでもっと理科嫌いを増やすことは得策ではないからである。
しかし、例えば微分積分が物理学の要請に応えるために発明されたことや、一般相対性理論がRiemann幾何学を作り出したことからもわかるように本来数学と物理は不可分なものである。この風潮は現在の超弦理論に至るまで続いている(Calabi-Yau多様体なども元をたどれば位相空間論まで遡ることができる)ため、数学と物理の関係を理解しそれを積極的に使おうとする姿勢は物理の正統的な理解に必要不可欠なものである。
実際、テキスト上は第1講から問題演習をしていくかと思いきや最初にEuclid空間や微積分の話をするのはそういう背景があるからだ(このズレはどんどん重なっていくのだが何とか帳尻を合わせる)。Euclid空間の例を考えてみよう。古典力学においては我々が住む空間が3次元Euclid空間であると仮定していたが、特殊相対性理論ではMinkowski時空、一般相対性理論ではRiemann時空でないと説明の都合が合わなくなってしまう。意外に知られていないが、相対性理論は古典物理学に含まれる。その中でも空間一つさえ紆余曲折を経たのである。
師はこのような正統的理解を目指している。「タッチの定理」だとか「はじき」だとかを使って理解しようとする「パターン主義」「イメージ主義」の物理とはかけ離れたものである。そのためか師の物理を「大学学部レベルのことをわざわざやる必要なんてない上に、受験には全く非効率ではないのか?」と批判する声もある。一方で「苑田物理を死ぬ気でやったおかげで数点差で東大に合格した」という声もある。
筆者としてはいずれも正しい意見だと考えている。当然、受験に受かることだけを考えたいのならば極端な話物理ができなかろうと数学英語で満点近く取ってしまえば理3でも届いてしまうだろう。しかし、やはり正統派な理解というのはパターン暗記に比べて明らかに視界がクリアである。別に計算が極端に楽になるわけでもなければ、何か大きなショートカットができるわけでもない。しかし、何をすればいいのかが見えてくるのである。それこそが師の物理の長所であろう。
実際、師は問題演習の際に微積分をゴリゴリ使って計算するわけではなくその都度その都度もっとも普遍性がありかつスマートな解法を用いるので受験から大きく離れた自慰行為をしているわけではない。

ひとまず師の良いところを述べたがもちろん公平性を期すために悪いところも述べる必要があるだろう。
まず、生徒の板書時間は考慮していないようなので丁寧にノートを取る人は板書でかなり時間をとられる。
授業の撮影のしやすさもあまり考慮しておらず、師に隠れて見えない部分をかなりの角度で何とか写しているという場面が何度もある。とはいえ、映像授業であるのでこれらはそこまで大きな欠点にはならないはず。
河合塾での授業ではきちんと板書を写す時間を取ってくれる。
また、師の授業は分かる人にとっては非常に美しい体系となっているが、全くのど素人には毎回悶絶してしまうのではないかと懸念してしまうぐらい心配なものになっていると思う。「受講する生徒を選ぶ」と言われることが多いのはそのためであろう。たとえば、束縛運動のところで急に微小変位がどうたらこうたらと話をされて理解できた天才はどれだけいるのだろうか。あれは解析力学の分野(LagrangeやHamiltonがNewton力学を再構築した理論)における「仮想仕事の原理」のことである。たしかに名前のいかめしさに比べれば大したことは言っていないのだが、いきなりスルッと言われてもそうそうわかるわけではない。

上記の文章の筆者ではないが、微積分を使う物理についてこれだけは言わせていただきたい。
例えば、国が「ゆとり教育は絶対に最高だから歴史では偉人の苗字を教えるな」という指針が発表されたとする。当然国が決めた事である為先生はみんな偉人の苗字は教えなくなる。すると家康と家定と綱吉などたくさんの偉人を教えられるが生徒はそれらの人間は徳川家という繋がりがある事を分からず、個々に暗記する事が求められる。そしてテストで「江戸を治めた人を全員答えなさい」などとでたら運にすがるしかなくなってしまう。しかし、歴史オタクは苗字を知っていて、江戸は徳川家が治めていたと分かっている為スラスラと解ける。そこで先生に何故苗字を教えないのかと聞くと難しい事は大学でやりなさいとつっぱねられてしまう。
このお話を皆さんはどう思うだろうか、卒直に言って理不尽と思わないだろうか?この「理不尽」が現在物理という学問で生じているのだ。「ゆとり教育は絶対最高だから物理では微積を使うな」と言われているのだ。この様な異常事態こそ物理嫌いを生産しているに他ならないだろう。運動量と力積の関係や運動エネルギーと仕事の関係は全て運動方程式という繋がりがあるのにも関わらず個々に覚える必要があるのだ。
微積物理を学ぶかは結局は個人次第である。強制されるものではない。
しかし、この様な現状が起きているという事だけは知っていて欲しい。

毎年、東進の校舎で「『俺、苑田で物理を極めちゃおうかな』→数学が得意でない生徒が『ハイorトップレベル物理』を取る→理解出来ず自爆→苑田先生の高度な説明のせいにする」という光景が多く発生する。
他にも「浪人生だから難しいこと分かっていないと現役生と差がつけられない!」と焦ってしまい背伸びして師の講座を取った結果何も分からずに諦めてしまうパターンも多い。

とはいえ、師の講義は非常に丁寧であるので、映像授業の利点を活かして何度も見て復習を欠かさなければ、物理初学者でもついていける。流石に数学は数3まで分かっていないと厳しい。一コマ消化するのに3時間は見積もったほうが良い。

よって、難解な師の物理を理解するために次のように勉強するのがオススメである。
(あくまでも筆者の個人的見解):
0. 高校数学を数3まで一通り終える
1. 下記の書籍やサイトと協力して師の授業を理解する
・細川貴英『微積で解いて得する物理』
・杉山忠男『理論物理への道標』上下2冊
・山本義隆『新・物理入門』
・前野昌弘『よくわかる初等力学』『よくわかる解析力学』『よくわかる電磁気学』
・兵頭俊夫『考える力学』
・石井俊全『1冊でマスター 大学の微分積分』
・竹内 淳『高校数学でわかる マクスウェル方程式』『〃 ボルツマンの原理』
・マセマの大学物理シリーズ
・高校物理の備忘録(https://physnotes.jp
・ヨビノリたくみ YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCqmWJJolqAgjIdLqK3zD1QQ
2. 扱った問題の復習をする
→具体的には理論体系を自分で再現できるようにしたい。ただし、課題を与えないことには本人でもない限り0からまんまの再現は不可能であるので、授業中に理論展開して行った事柄をできるだけ自分が主体的になれるような問いかけをまとめたノートを作ると良い。具体的には、例えば以下のようなことである。
・質量にはどのような定義があり、それらの違いはなにか。
・円運動における接線方向の加速度の導出は出来るか。
・運動エネルギーを重心とその周りのエネルギーに分けられるか。
・点電荷以外にも3つあるが、それも全部導出出来るか。
・電位の定義は言えるか。
・ポアソンの式を2通りの方法で導出できるか。
・一次元波動の式を瞬間的に書き換えれるか。
・ドップラー効果の導出は3通り全て出来るか。
以上の問題をしっかりと理論展開できなければ、物理現象やその理論を理解できていない。すなわち、大学入試の問題も解けないのである。
テキストには授業用の問題と復習用の問題が解答付きで付属しているので演習はこれだけで十分であろう。

大学の物理』という講座もある。Part1で1次元の波動方程式まで、Part2で特殊相対性理論をやると書いてある。(筆者はまだ受けていないので断言はできないが)Part1は流体力学への入門、Part2は一般相対性理論への入門としていいのではないかと考えられる(ただし一般相対性理論は悪魔のようなテンソル計算の峠を越えなければならない。少なくとも受験生がやることではない)。

サングラスに髭とポニーテール、全身をヴェルサーチでまとう個性的な格好をしている。いかなる時もサングラスを外そうとしない。だが、講数が進むとサングラス越しに若干、師の目の輪郭ぐらいは見ることができる。(例:ハイレベル物理)
年齢のわりに相当オシャレ。予備校講師になる前は証券会社でトレーダーをやっていた。
非常に暑がりであるため近年は一年中半袖である。(ランボルギーニやポルシェなどの海外の車ブランドのTシャツを頻繁に着ておられる。)
サングラスを取るとJean Renoや元NBA選手Vlade Divacに似ている。
大学四年生の時に結婚。卒業後アメリカの大学に留学をする予定になっていたが、妻の反対により断念。その後離婚し、現在は予備校講師と再婚している。
実は河合塾をメインに物理を教えている。東大模試や、東大の解答速報などは全て河合塾のものを担当している。(東進のものは校閲のみ行っている)河合塾でも浪人生「ハイパー東大物理」「ハイパー医進物理」や現役生「MEPLO東大物理」、ONE WEX講座なる河合塾の中で最上級のクラスを担当。また東大オープンの作問メンバーである。なお、河合塾でも延長は多い(1日7時間の補講を学期ごとに2回程度行う)
また、東大本番レベル模試の解説授業を担当(作問は担当していない)。解答解説集にない解法を見せてくれることもあり受ける価値はある。

「(授業開始時に)では, 」
「実にすがすがしい!」
「ほーら, 生き生きと見えるでしょ?」
「実にまがまがしい!」
「一秒!」
「死ぬほどちょびっと」
「ちょぼちょぼ足し算」
「そんなアホみたいなこと言わないでね」
「考えろ, 頭を使え」
「式に埋もれんなよ」
「お題目だけやっててもどうしようもないわけ」
「ぽしゃる」
「そんなものは物理ではない!」
「こんなの瞬間でパッと見えなきゃいけないわけですよ」
「これ物理やってる人は常識なんです, 当たり前に見えてることなんです」
「とにかく見えてるんなら, ラクにやる」
「全てが見えて, 初めてラクな方法が分かる」
「この程度の議論ができないという事は, それは, 君たちが勉強不足という事です」
「そうするとー, おっ↑そうか、」
「口定」
「するンと」
「xツードットがxのマイナス係数一次関数だからこれは単振動」
「単振動は簡単振動」
「こんなの速度ベクトル図の方がはやいよね」
「大学まで温めてください」
「(終了時)次の時間, まあそんな感じでやれたらなと, そんなふうに思います。続きは次の時間やることにいたしましょう。サササッ」
「数式は言葉です。計算じゃない」

担当講座

  • 通期中間講習(現行)
    講座コード講座名
    2358東大対策物理 (総合演習)
    2321トップレベル物理 (力学徹底演習)
    2345トップレベル物理 (波動徹底講座)①②
  • 通期講座(廃止)
    講座コード講座名
    5283本科東大物理 前期
    9012本科東大物理 前期
  • 通年講習(廃止)
    講座コード講座名
    7557本科東大物理 後期
    9998本科東大物理 後期

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