苑田 尚之 のバックアップ(No.44)


苑田 尚之(そのだ なおゆき)先生は、東進ハイスクール物理科講師、河合塾物理科講師。

人物

神(GOD)である。長崎西高校卒業。東京大学理学部物理学科を首席で卒業。

元城南予備校講師。2005年のパンフレットに顔写真が記載されている。

現在は河合塾と兼任。

もともと予備校の講師は2,3年の腰掛け程度の気持ちで始めたものの、仕事の楽しさに気付いてしまったと語っている。現在では受験物理界でのカリスマに昇りつめる存在となった。

授業を受ければ、本当に生徒を心から思っていることが分かるだろう。

サングラスに髭とポニーテール、全身をヴェルサーチェでまとう個性的な格好をしている。いかなる時もサングラスを外そうとしない。だが、講数が進むとサングラス越しに若干、師の目の輪郭ぐらいは見ることができる。

年齢の割に相当オシャレ。非常に暑がりであるため近年は一年中半袖である。ランボルギーニやポルシェなどの海外の車ブランドのTシャツを頻繁に着ておられる。

三宅先生曰く、スポーツカーを10台は所有しているらしい*1

サングラスを取るとJean Renoや元NBA選手Vlade Divacに似ている。

大学四年生の時に結婚。卒業後アメリカの大学に留学をする予定になっていたが、妻の反対により断念。その後離婚し、現在は予備校講師と再婚している。予備校講師になる前は証券会社でトレーダーをやっていた。

CMの影響で東進のイメージが強いが、実は河合塾をメインに物理を教えている。東大模試や、東大の解答速報などは全て河合塾のものを担当している(東進のものは校閲のみ行っている)。河合塾でも浪人生「ハイパー東大物理」「ハイパー医進物理」や現役生「MEPLO東大物理」、ONE WEX講座なる河合塾の中で最上級のクラスを担当。また東大オープンの作問メンバーである。なお、河合塾でも延長は多い(1日7時間の補講を学期ごとに2回程度行う)。

また、東大本番レベル模試の解説授業を担当(作問は担当していない)。解答解説集に書かれていない解法を示してくれる事もあり受ける価値はある。

師が扱う物理の範囲については賛否両論あるが、ここでは少し俯瞰的な説明をしてみようと思う。

*以下、長い文章が続くが、全て「苑田先生はどのように物理を教えたいのか」ということを説明する為に必要な文章なので、このページの意図には一応沿っていると思う。特に苑田先生含む微積物理(この呼称にも問題があるのだが…)に対しては反対派が多く、その点を気にして踏みとどまる生徒も数多くいるのでここで鳥瞰図を与えてそれぞれどうすべきか道標を与えようとする試みである。

そもそも高校物理は文部科学省のカリキュラム上、数Ⅲで習うような微分積分学などの若干高級な数学を使うことは許されていない。これについては、直感的に素早く学べる事で見通しが立ちやすくなるという利点もあり、一般的な高校生(勿論世の中は最難関大学志望者だけでは無い)に厳密な理論を教える事で更に理科嫌いを増やす事は得策ではないからである。

しかし、例えば微分積分学は物理学の要請に応える為に発明された事や、一般相対性理論がRiemann幾何学を作り出した事からも分かるように本来数学と物理学は不可分なものである。この風潮は現在の超弦理論に至るまで続いている(Calabi-Yau多様体なども元を辿れば位相空間論まで遡る事ができる)為、数学と物理学の関係を理解してそれを積極的に使おうとする姿勢は物理学の正統的な理解に必要不可欠な過程である。

実際、テキスト上は第1講から問題演習をしていくかと思いきや最初にEuclid空間や微積分学の話をするのは左様な背景があるからだ(このズレはどんどん重なっていくが後半で何とか帳尻を合わせる)。Euclid空間の例を考えてみよう。古典力学においては我々が住む空間が3次元Euclid空間であると仮定していたが、特殊相対性理論ではMinkowski時空、一般相対性理論ではRiemann時空でないと説明の都合が合わなくなってしまう。意外に知られていないが、相対性理論は古典物理学に含まれる。その中でも空間一つさえ紆余曲折を経たのである。

師はこのような正統的理解を目指している。「タッチの定理」だとか「はじき」だとかを使って理解しようとする「パターン主義」「イメージ主義」の物理とはかけ離れたものである。それ故か師の物理を「大学学部レベルの内容をわざわざやる必要なんて無い上に、受験には全く非効率ではないのか?」と批判する声もある。一方で「苑田物理を死ぬ気でやったおかげで数点差で東大に合格した」という声もある。

筆者としてはいずれも正しい意見だと考えている。当然、受験に受かる事だけを考えたいのならば極端な話、物理ができなかろうと数学英語で満点近く取ってしまえば理Ⅲでも届いてしまうだろう。しかし、やはり正統派な理解というのはパターン暗記に比べて明らかに視界がクリアである。別に計算が極端に楽になる訳でもなければ、何か大きなショートカットができる訳でもない。しかし、何をすれば良いのかが自ずと見えてくるのである。この全体を俯瞰する力を養える事が師の講義の長所であろう。

実際、師は問題演習の際に微積分をゴリゴリ使って計算する訳ではなくその都度その都度で最も普遍性があり、かつスマートな解法を用いるので受験から大きく離れた自慰行為をしている訳ではない。結局、師は高級な事に拘っている訳ではなく、高校物理の完全な見通しの為に必要な知識・考え方を教えて下さる。何らおかしい事は無い。必要十分なのだ。

ひとまず師の良い部分を述べたが勿論公平性を期す為に悪い部分も述べる必要があるだろう。

まず、生徒の板書時間は考慮していないようなので丁寧にノートを取る人は板書でかなり時間を取られる。また、黒板をちゃんと消さない(跡が残っていたり、余計な線で見づらくなったりする)。

授業の撮影のしやすさもあまり考慮しておらず、師に隠れて見えない部分をかなりの角度で何とか写しているという場面が何度もある。ただ、理系物理の基礎の場合は黒板が分裂しているタイプなので、そのようなことはない。

とはいえ、映像授業であるのでこれらはそこまで大きな欠点にはならないはず。

河合塾での授業ではきちんと板書を写す時間を取ってくれる。

また、師の授業は分かる人にとっては非常に美しい体系となっているが、全くのど素人には毎回悶絶してしまうのではないかと懸念してしまうぐらい心配なものになっていると思う。「受講する生徒を選ぶ」と言われる事が多いのはそのためであろう。たとえば、束縛運動の講義で急に微小変位させて収支を考えるなどと話をされて理解できた天才はどれだけいるのだろうか。あれは解析力学の分野(LagrangeやHamiltonがNewton力学を再構築した理論)における「仮想仕事の原理」の事である。確かに名前のいかめしさに比べれば大した事は言っていないのだが、急にサラッと言われてそうそう分かる物ではない。

上記の文章の筆者ではないが、微積分を使う物理についてこれだけは言わせていただきたい。

例えば、国が「ゆとり教育は絶対だから歴史では偉人の苗字を教えるな」という指針が発表されたとする。当然国が決めた事である為、教師は偉人の苗字は教えなくなる。すると家康や家定、綱吉などたくさんの偉人を教えられるが生徒はそれらの人間は徳川家という繋がりがある事を分からず、個々に暗記する事が求められる。そしてテストで「江戸を治めた人を全員答えなさい」などとでたら運にすがるしかなくなってしまう。しかし、歴史オタクは苗字を知っていて、江戸は徳川家が治めていたと全体像を分かっている為、スラスラと解ける。そこで教師に何故、苗字を教えないのかと尋ねると「難しい事は大学でやりなさい」とつっぱねられてしまう。

この話についてどう思うだろうか、卒直に言って理不尽だと思わないだろうか?この「理不尽」が現在、物理学という学問で生じているのだ。「ゆとり教育は絶対だから物理では微積を使うな」と言われているのだ。この様な異常事態こそ物理嫌いを生産しているに他ならないだろう。運動量と力積の関係や運動エネルギーと仕事の関係は全て運動方程式に通じているにも関わらず個々に覚える必要があるのだ。

師の物理学を学ぶかは結局は個人次第である。強制されるものではない。

しかし、この様な現状が起きているという事だけは知っていて欲しい。

毎年、様々な校舎で「『俺、苑田で物理を極めちゃおうかな』→数Ⅲをろくに学んでいない生徒が『ハイorトップレベル物理』を取る→全く理解出来ず自爆→苑田先生の高度な説明のせいにしてアンチ化する」という光景が多く発生する。そこら辺のネット掲示板にそのような人々による書き込みが多々ある。そのような人々は橋本先生のような「イメージ」を好む傾向があるように思われる。

他にも「浪人生だから難しい事を分かっていないと現役生と差がつけられない!」と焦ってしまい背伸びして師の講座を取った結果、何も分からずに諦めてしまうパターンも多い。

とはいえ、師の講義は非常に丁寧であるので、映像授業の利点を活かして何度も受講して復習を欠かさなければ、物理初学者でもついていける。流石に数学は数Ⅲまで分かっていないと厳しい。一コマ消化するのに2~4時間は見積もった方が良い。(板書を写すとそれ以上)

よって、難解な師の物理を理解する為に次のように勉強するのがオススメである。(特におすすめの書籍には☆を付けてある)

あくまでも筆者達の個人的見解と捉えて頂きたい。

0. 高校数学を数Ⅲまで一通り終える

(数学ぐんぐん、数学の真髄レベルの素養があるとかなりスムーズになる)

1. 下記の書籍やサイトと協力して師の授業を理解する

(以下のものに頼るよりかは師の発言を書き写し何度も考え、解釈し理論を咀嚼していくべきだという意見もある。本当に煮詰まってしまった場合のみ、以下の☆マークのものから参考にしておくとよい。理論体系を追えるものが望ましい。☆は高校生向けに書かれており、それ以外は大学初等古典物理の側面が強い。)

☆吉田弘幸『はじめて学ぶ物理学 学問としての高校物理』上下2冊

☆山本義隆『新・物理入門』

☆杉山忠男『理論物理への道標』上下2冊

・竹内 淳『高校数学でわかる マクスウェル方程式』『〃 ボルツマンの原理』

・細川貴英『微積で解いて得する物理』

・前野昌弘『よくわかる初等力学』『よくわかる解析力学』『よくわかる電磁気学』

・兵頭俊夫『考える力学』

・石井俊全『1冊でマスター 大学の微分積分』

・マセマの大学物理シリーズ

・高校物理の備忘録(https://physnotes.jp

・ヨビノリたくみ YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCqmWJJolqAgjIdLqK3zD1QQ

2. 扱った問題の復習をする

→具体的には理論体系を自分で再現できるようにしたい。ただし、課題を与えない事には0からの再現は不可能であるので、授業中に理論展開して行った事柄をできるだけ自分が主体的になれるような問いかけをまとめたノートを作ると良い。とはいっても、実際に苑田先生は何も見ずに0から100まで説明なさるので同じようにできるようになるのが一番良いだろう。具体的には、以下の様な質問について瞬時に答えられたら良い。

・質量にはどのような定義があり、それらの違いは何か。

・円運動における接線/法線方向の加速度の導出は出来るか。

・束縛条件を動滑車を例に説明できるか。

・運動エネルギーを重心運動と内部運動のエネルギーに分けられるか。

・1次元衝突を速度ベクトル図を用いて解く事が出来るか。

・有名な電場は点電荷以外にも3つあるが、それら全てを導出できるか。

・電位,静電エネルギーの定義は言えるか。

・Lorentz力やAmpère力の働く向きが瞬時に分かるか。

・Poissonの式を2通りの方法で導出できるか。

・一次元波動の式を瞬時に書き換えれるか。

・Doppler効果の導出は3通り全てできるか。

・Huygensの原理,Fermatの原理から反射/屈折の法則を導出できるか。

以上の問題をしっかりと理論展開できなければ、物理現象やその理論を理解できていない。すなわち、大学入試の問題も解けない。

テキストには授業用問題と復習用問題が解答付き(復習用問題については解答プロセスも書かれている)で付属しているので演習はこれだけで十分であろう。

大学の物理』という講座もある。Part1で1次元の波動方程式まで、Part2で特殊相対性理論を扱うと書いてある。(筆者は受けていないので断言はできないが)Part1は流体力学への入門、Part2は一般相対性理論への入門としていいのではないかと考えられる(ただし一般相対性理論は悪魔のようなテンソル計算の峠を越えなければならない。少なくとも受験生がやる事ではない)。

「(授業開始時に)では, 」

「(授業終了時に)続きはまた次の時間やることに致しましょう」

「イメージで済むならニュートンはいらない」

「実態が分かれば良いんです」

「パズルばっかしててもいずれ間違う」

「実にすがすがしい!」

「ほーら, 生き生きと見えるでしょ?」

「実にまがまがしい!」

「一秒!」

「死ぬほどちょびっと」

「ちょぼちょぼ足し算」

「そんなアホみたいなこと言わないでね」

「お題目だけやっててもどうしようもないわけ」

「ぽしゃっちゃう」

「そんなものは物理ではない!」

「こんなの瞬間でパッと見えなきゃいけない訳ですよ」

「これ物理やってる人は常識なんです, 当たり前に見えてる事なんです」

「とにかく見えてるんなら, ラクにやる」

「全てが見えて, 初めてラクな方法が分かる」

「この程度の議論ができないという事は, それは, 君たちが勉強不足という事です」

「こんなの暗算の問題だよね」

「これはもう小学生の問題です」

「そうするとー, おっ↑そうか、」

「口定」

「するンと」

「〜であーる…」

「xツードットがxのマイナス係数一次関数だからこれは単振動」

「単振動は簡単振動」

「こんなの速度ベクトル図の方が速いよね」

「慣性力はおまじないじゃないからね」

「大学まで温めてください」

「古典物理学は簡単なんです、気持ちいいんです」

「(終了時)次の時間, まあそんな感じでやれたらなと, そんなふうに思います。続きは次の時間やることにいたしましょう。サササッ」

「考えろ, 頭を使え」

「式に埋もれんなよ」

「数式は言葉です。計算じゃない」

担当講座

  • 通期講座(廃止)
    講座コード講座名
    0584東大対策物理
    2185/2195ハイレベル物理Ⅰ・Ⅱ①②
    1685/1691ハイレベル物理Ⅰ・Ⅱ①②
    0164/0392トップレベル物理Ⅰ・Ⅱ①②
    0006/0141ハイレベル物理Ⅰ・Ⅱ①②
    2603/2616トップレベル物理ⅠB・Ⅱ①②
    2588/2591ハイレベル物理ⅠB・Ⅱ①②
    4922高等学校対応 物理ⅠB
    5283本科東大物理 前期
    9012本科東大物理 前期
  • 通年講習(廃止)
    講座コード講座名
    7557本科東大物理 後期
    9998本科東大物理 後期

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